iPod のように、大量の音楽を扱う場合には
音質を上げるテクニック にも注意が必要です。
基本的に各曲の音量を合わせた方が全体的な音質が良くなります。
いわゆる、
ノーマライズ という音質向上のテクニックです。
以前、 「
MP3GainとAACGainについて」 紹介しましたが、今回は
MP3Gainの正しい使い方 について述べたいと思います。
0. 検証に使用したアルバム今回、
MP3Gain を用いて評価検証したアルバムはコンセプトアルバムの歴史的名盤。
ドリームシアター「Metropolis Part2 : Scenes From A Memory」
Dream Theater/Metropolis Part 2: Scenes From A Memory
私の音楽史でNo.1アルバムとして燦然と輝くお気に入りアルバムです。
このCDについては私の裏ブログ 「ドリームシアターレビュー」 を参照願いますちなみに、今までしてきた数々の音の検証は、このアルバムの曲を使っています。
① BOSEのQuiet Comfort3購入レビュー 音検証
② リッピング後の波形比較 なお、コンセプトアルバムは歴史的名盤が多く、
ビートルズ 「
アビーロード」
ピンクフロイド 「
Dark Side Of The Moon」

Pink Floyd/Dark Side Of The Moon: 30th Anniversary (Hyb)
などもコンセプトアルバムです。
コンセプトアルバムは殆どの曲同士が繋がっているので、
① 1曲1曲の音圧がかなり違う
② そのため、MP3Gainなどで曲単位のノーマライズをしてしまうと、曲のつながりの部分でかなりの違和感を感じる。
という問題があります。
コンセプトアルバムは
ノーマライズ しなければいいのですが、ランダム再生時に他のアルバムの曲との音の大きさに差ができてしまうのは気になります。
1. ノーマライズの問題点iPod がギャップレス対応になる前までは、私は対応策として、
「WAVデータをパソコンで取り込んでから全曲を編集して全て繋げてしまう」という荒技を使い、その編集ファイルをノーマライズしていました。
でも曲を全て繋げてしまうと、当然ながら曲単位での選択やスキップが出来なくなるのでおすすめできません。
こういう曲間の無音部を無くして再生する、
ギャップレス再生という大変便利な機能が登場しました。
第5世代iPod、第2世代iPod nano から対応したこの機能により、曲間の無音部分の問題は解消されました。
現在、
iPod で残った問題は、ノーマライズ時の音の大きさ(音圧 dB)のバラツキだけと考えています。
ノーマライズの問題点は2つです。
①
ランダム再生時に他のアルバムの曲との音の大きさに差ができる②
音が小さい曲を無理矢理あげてしまい、音質が逆に劣化してしまうそこで、今回は
「MP3GainとAACGainの正しいノーマライズの仕方 実践編」と題して、検証します。
2. MP3Gainの正しい使い方MP3Gainの設定は以下の写真のようにアルバム分析、アルバムゲインにしましょう。

(0) 音圧を変換したい、対象のMP3ファイルを読み込む。
『ファイルの追加』 ボタンで読み込むことができます。
また、ファイルをドラッグしてWindowsライクに移動させることでも読み込むことができます。
(1) 目標“標準”音量を “
93dB” に変更します。
左側から3,4番目のアイコンをプルダウンで 『アルバム分析』 『アルバムゲイン』 に変更します。
(2) 『アルバム分析』 のボタンを押します。
結構時間がかかりますが、終わるまで待ちます。
(3) 『アルバムゲイン』 のボタンを押します。
(2)ほど時間はかかりません。終わるまで待ちます。
これで終了です。
なお、最初から (3)の 『アルバムゲイン』 のボタンを押すと (2)のアルバム分析から音圧変換まで連続で作業できます。
また、(1)の目標音量などの設定は自動的に保存されます。
つまり、2回目からはファイルを読み込んで、 (3) 『アルバムゲイン』 を押すだけで作業が終了します。
簡単でしょう?
3. MP3Gainで検証した詳細説明ドリームシアター の 「メトロポリスパート2」 の場合、
曲単位の音量 最小89.1dB ~ 最大 98.9dB
アルバム音量 97.8dB
アルバムゲイン -4.5dB
(目標設定値 93dB)
になります。
失敗例 トラックゲイントラックゲインとは、曲単位のレベル上げを表します。
トラックゲインのボタンを押してしまうと、小さい音圧レベルの曲があった場合、無理矢理上げてしまうことになるので、音のバランスがおかしくなります。
ただ、目標音量を93dBくらいにしておけば、その心配はまずありません。
「メトロポリスパート2」 でこのトラックゲインをしてしまうと、
音量最小の曲 「Through My Words」 (89.1dB → 93.6dB)
音量最大の曲 「Home」 (98.9dB → 92.9dB)
になります。
音量最小の曲が音量最大の曲を超えてしまいました。
こうなると、曲単位ではあまり分からないのですが、アルバム全体を通して聴くと音量最大の曲の音質が悪くなったように聴こえます。
また、逆に音量最小の曲はやけに大きくなっているように聴こえ、音割れすることもあります。
成功例 アルバムゲインアルバムゲインとは、そのアルバムの平均音量(単純な平均ではない)を計算してアルバム単位で最適音量を算出します。
「メトロポリスパート2」 でこのアルバムゲインをすると、
アルバムの平均音量(97.8dB)から目標音量(93dB)にするために必要な音量(0.5dB単位で分割されます)は -4.5dB と計算されました。
つまり、
音量最小の曲 「Through My Words」 (89.1dB → 84.6dB)
音量最大の曲 「Home」 (98.9dB → 94.4dB)
となり、違和感がほとんどなく全体のレベルが均一に下がりました。
(曲のつながりに若干違和感を感じるときもありますが、ランダム再生では全く問題はなく、かなり安定した音質向上効果が得られます。)
もともと音が小さい曲の音がさらに小さくなりますが、これは音質劣化にはなりません。
音が小さいレベルの曲(アコースティックバージョンとかに多い)を上げる方がよっぽど変に聴こえます。
最終結論MP3Gain、AACGainの目標音量は93dB
ゲインには、アルバムゲインを使用する私は
MP3Gainの設定はこの設定がベスト だと思います。
4. 最後に93dBという音圧は現在のCDの基準からすると、若干音量が小さく感じると思います。
昔からCDを集めて何百枚も持っている人なら分かると思いますが、CDによって音圧(音量レベル)、音質は異なっています。
音楽ファイルを自分で変換して、一手間かけるのであれば、
MP3Gain で音圧レベルをそろえるということは重要なことだと思います。
なお、iTunesなどで購入したDRM(プロテクト)がかかっているファイルについては
MP3Gain は使えません。
そのため、音圧をそろえることができません。
一般的なプロテクトファイルは128kbpsで音質も悪いので、こういうファイルは割り切って使い分けをしましょう。
日本の音楽にはプロテクトがかかっているものが多いです。
ちなみにiTunesで購入できる(洋楽に多い) DRMフリーファイルは AACの256kbps。
自分でCDから取った MP3の320kbps と比べると、若干落ちますが十分な音質はありますし、通常使用では違和感はありません。
私は、音楽ファイルのDRMフリー化には賛成です。
BOSE M3 購入レビューiPod Classic 購入レビューiPodレビュー おすすめイヤホン比較
テーマ:**暮らしを楽しむ** - ジャンル:ライフ
- 2008/08/25(月) 15:36:10|
- MP3Gainの使い方
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高いスピーカーなのに音がどうしても気に入らない場合は?高価(5万前後)なiPodスピーカーは安価なものとは違い、低音がしっかりと鳴ります。
音のバランスが気に入らない場合でも、こういうスピーカーは
イコライザー調整で何とかすることができます。
低音はしっかりと鳴っているので、基本的には高音のバランスを調整すれば好みの音に近づくことが多いのです。
でも、本当にいいスピーカーには基本イコライザー調整機能はありません。
調整も必要ないということでしょう。
しかし、iPodスピーカーの場合はiPod本体でもイコライザー調整ができます。
一番おすすめなのは 「
Acoustic」
一般に言われる 「
ダイナミック」 な音の特性を持ったイコライザーです。
「せっかく高いiPodスピーカーを購入したのに、高音が聞き取りにくくハッキリしないのが嫌だ!」という人は、
iPod本体で 「Acoustic」 のイコライザーを設定してみてください。音の質が結構変わります。
なお、iPodのイコライザーの種類はいろいろありますので、自分の気に入ったイコライザーを見つけてみるのも楽しいでしょう。
まとめると、iPodスピーカーは
① 本体
② iPod自体の設定
で音質(イコライザー)の調整が可能なので、スピーカー本体にイコライザー機能がなくても気に入った音に調整できることが多いです。
ただ、安いスピーカーでは低音がスカスカなので何をやっても満足できません。
前回も言ったとおり、3万円~5万円クラスのスピーカーを選択したほうが後悔しないと思います。
以下は、私が持っている
iPodスピーカー のイコライザー調整例です。
例1 amadana AD-203 の場合
① AD-203 音質調整不可
② iPod本体 「
Acoustic」
AD-203はそのままだと私好みの音ではありませんでしたので、iPod本体で 「
Acoustic」 調整したら好みの音になりました。
amadana(アマダナ) デスクトップオーディオ2 AD-203 購入レビュー例2 BOSE Sounddock の場合① Sounddock 音質調整不可
② iPod本体 調整不要
バランスがいいので調整は不要です。例3 ONKYO CBX-Z1 の場合
CBX-Z1は、本体でもイコライザー調整ができます。
① CBX-Z1 「
Dynamic2」
② iPod本体 「
Acoustic」
まあまあ自分好みの音になりましたが、満足するまでには至りませんでした。
ただ、CBX-Z1の機能は秀逸でしたのでメインで使っていました。
しかし、機能はそのままで音質を大幅に改善した製品が、
CBX-Z20X です。
CBX-Z20X は音質レベルが大幅に上がっていたので、iPodでのイコライザーはフラットのままで調整は不要でした。
本体の調整も不要ですが、
「クリアー」 にすると、M3並みに高音が綺麗。
「ダイナミック」 では、M3並みの低音。
になります。
CBX-Z20X は
BOSE M3 に匹敵するほどの音質を持っており、iPodスピーカーとしての機能も高レベルです。
CBX-Z20X は最強のiPodスピーカーの一つでしょう。iPodスピーカー(楽天市場)
- 2008/08/01(金) 20:00:00|
- iPod スピーカー 比較
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